その暴言は「ストレス発散」か

「『バカ』『あっちいけ』という言葉を連続して発する児童がいて、ただその児童にとってはそのように悪口を言うことで一つのストレスを発散しているのではないか。だからとめるべきではなく言わせておいた方が良いのでは?」

という質問をいただきましたが、これには「それは違うと思います。」とお答えしました。
ダウン症の児童なのですが、要するに普段からストレスがたまっていて言いやすい空間を見つけたのでこうした悪口を発しているのだという見方をしたようです。

さて、なぜ冒頭の質問である「ストレスによる暴言」という見方は違うと言えたのか、それにはいくつか理由があります。
1つにはその暴言が繰り返されているということ。
ダウン症の子に限ったことではありませんがこのように同じことを話したり口にしたりすることは珍しいことではありません。同じことを繰り返し話す、同じ質問繰り返し行う、同じ話題を繰り返す・・・。どうしてこうなるのかうまく説明できませんが、少なくともある話や質問が繰り返されることが機能的な特徴である点は見逃せません。そしてなるべく受け答えしてあげたいものの毎回同じでは対応する側も疲弊してしまいますので、いつかは気づいてもらいたいと思いつつ、忍耐強く修正していかなくてはなりません。

もう1つは獲得している語彙に極端な偏向性が見られる点でした。つまり、食べ物や動物の名前は上手に発音できないものの、こうした暴言のような台詞は驚くほどスムーズである点。確かに暴言を中心に学習してきている分、多く耳にして口にしてきた語彙だと考えられますが、獲得している語彙の少なさが1つ気になるところでした。
獲得した語彙の量に応じて表現は豊かになりますから、仮にストレスだったとしてもそれを表現するにはあまりにも語彙が少ないように思われました。あらゆる感情を「バカ」「あっちいけ」で表現しているのだと思います。

ストレスによる可能性を全くないとは言い切れません。ただ、ストレスによるものとしては多すぎるしフラストレーションがたまる場面意外にも使用していることを考えるとやはり独特の話し方が主因だろうと思うのです。
このとき「ストレスによるものだから言わせておけば減るはず・・・。」というのは楽観的で、このままだとおそらく10年経ってもこの暴言はおさまらないだろうと判断しました。

今はトークンエコノミーと「なぜその発言をするの?」という向き合い方をしながら地道に暴言を減らす方向で進めています。

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